身寄りのない人の葬儀

生活保護者の遺骨捨てる 遺族に100万円賠償 福岡市
http://www.asahi.com/national/update/0613/SEB201306130009.html(※リンク切れ)

【八尋紀子】福岡市は13日、生活保護受給者を火葬した後、遺族に連絡しないまま遺骨を廃棄したとして、遺族に100万円の損害賠償金を支払うことを明らかにした。

市保護課によると、2011年6月、一人暮らしの男性が病死。親族で唯一の交流があった息子と連絡が取れず、別の親族に遺骨の引き取りや葬儀を拒否された。このため、市は葬祭業者に依頼して男性を火葬し、葬儀をしたが、男性の遺骨は廃棄したという。

葬儀の後に連絡が取れた息子は「供養する遺骨がなくなった」と訴え、損害賠償を請求。市の担当者は「交流があった親族と連絡を取れるよう、できる限りの努力が必要だった」と話している。

以上転載

これまた微妙な問題のニュース記事ですね。

よく身寄りのない人の葬儀はどうするの?というような一般論としての質問があります。
それに対する回答は、自治体が行う、というもののようです。
その論拠は、埋葬法第9条に依拠するようです。
※墓地、埋葬等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO048.html

墓地、埋葬等に関する法律
「第九条 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」

ただし、埋葬までは規定していないと思います。
また、上の例では、そもそも別の親族がいたわけですから、本来は、その親族が責任をもって葬儀(火葬)や遺骨の供養を行うべき問題です。

また、話がややこしくなったのは、「遺骨」の取り扱いですね。
日本人はとくに遺骨に対する思い入れが強いので、そこの機微を注意しないといけないようです。

息子さんとしても、葬儀(火葬)までは勝手にやってもらってもかまわなかったが、せめて遺骨は…という心情なのでしょう。
また、法律的も、遺骨は親族のものですので、所有権は親族、つまり、この息子さんにあります。
よって、息子さんの主張は正当なものと言えます。

ただし、別の親族が遺骨を引き取るのを拒否している時点で、遺骨の所有権が福岡市側に移っているとも考えられます。
しかしその反面、厳密に言えば、遺骨は誰のものなのか?という法的な根拠がないのでしょうね。
それなので、福岡市としては、面倒臭いから、お金で解決してしまった、というのが真相なのではないのでしょうか。

あと加えるならば、遺骨を「廃棄したのか」「遺棄したのか」「供養したのか」で、また問題が変わってきますので、なかなか遺骨1つとってみても、奥深い社会問題となってしまいますね。

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