リヴィングウィルと保護責任者遺棄罪

本日(2013.6.24)の読売新聞の「人生案内」に、『自然に逝きたい』という95歳の女性の方の相談が寄せられていました。

要約すると、自然に逝くにはどうしたらよいかというもので、相談者さまのお母さまの最期が、病院に搬送され、体のあちこちに管を通され、呼吸だけでしている状態の「生きている」状態だったそうです。

そのため、ご本人様はそのような延命の措置はとらずに、自然に絶命したいということです。

でも、これって簡単なようで、実は難しいんですよね。

まず、元気な状態で自宅でポックリ逝った場合、これは警察のご厄介になる場合が多いようです。
いちおう事件性が疑われるので、警察で調べるという理屈のようです。
まぁ、ご高齢の方の寿命と考えるのが普通なのでしょうが、社会というのは普通がなかなか難しいですからね。

自宅で具合が悪くなった場合、これが難しいんですよね。
救急車を呼ばなければ、家族の人がかえって「保護責任者遺棄罪」に問われかねないのが現状です。
もし本人が遺言などで、延命拒否の旨をしたためていても

>遺言は死後に効力が発生するものなので、延命拒否の効果は生じません

とのことです。(回答者 土肥幸代弁護士)

弁護士の土肥幸代先生が提案されているのが、「リヴィングウィル」というものです。
生前に延命治療を拒否するという意思表示を、あらかじめ医師に示しておくということです。
こうすれば、まったく何もないよりも、残されたご家族にとってはありがたいかもしれません。

しかし、リヴィングウィルに法的な拘束力はありません。
ですから、もし家族の方が本人の意に反し、延命を望めば延命治療はほどこされてしまいます。
このとき、逆に医師が家族の延命治療の希望を拒めば、こちらの方が法的に問題があるかと思います。
本来医師は、命を救うことを生業とするものであり、また、「リヴィングウィル」自体に法的な効力はありませんから。

ベターな選択肢としては、信頼のおけるかかりつけ医を持って、家族やその先生に「延命拒否」の意志表示をきちんとしておくということくらいでしょうか。

自分の「死」や「死後のこと=葬式など」を、自分でどうこうしようというのは、非常に難しいのが現状ですね。

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