戒名(法名)の問題


以下、碑文谷創さんの見解です。

「日本では中世に一般人、檀家つまり僧侶でない人の葬儀をするにあたって、僧侶になる儀礼を模して葬儀を行った。これは禅宗が最初である。そこで死者に戒を授けて仏弟子としてあの世に送るという形ができたのである。無論、生前に戒名を授かることもできる。

仏教で葬儀をするということは「仏弟子として」葬儀をしてもらうことを意味するので、生前に戒名または法名を受けていない人は仏弟子としての名である戒名または法名を授かるということになる。

従って、仏教で葬儀をしない者にはそもそも戒名(法名)なんてない。死後の名前をつけたければ勝手につければよい。仏教徒でもなく、仏教以外で葬式をあげるならば、そもそも戒名(法名)で迷うことはないのだ。

「戒名料」「院号料」という言葉が横行したことで、全日本仏教会が2001年に「戒名や法名はそもそも料金ではなく、値段がつくものではないので『戒名(法名)料』はない。これに対してはあくまで寺院護持や信仰に基づく『布施』であるべき」と主張した。

僧侶の名誉を守って言うと、全ての人に分け隔てなく院号を授ける僧侶、無理をして高額なお布施を包む遺族に「無理しないで」と半分返す僧侶、お金はあっても篤信でもない人には院号はつけない僧侶等が現にいる。

戒名(法名)を「死後の名前」と理解するのもわかる。仏教教団の説くところとは違って、死者に戒名(法名)がつけられることによって「あ~死んだんだ」と遺族が死の現実を引き受ける役割をするからだ。

「院号をつけると後が大変。寺から寄付を求められる」と言う人もいる。それはそうだ。檀家はお寺を護持する責任があるし、院号を授かる人はそれだけお寺の護持に責任をもつ人だからだ。「お金を取られる」と表現するのと「お寺を支えるために努める」と言うのではお金を出す人の姿勢が違うのだ。

戒名(法名)料騒ぎにはいろいろな問題が含まれている。」


セカンドステージ あなたは「戒名(法名)」をどうしますか? より

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