同じ戒名?

「『妙清信女』という戒名がなぜか2人に使われている。『妙仙信女』も2カ所に刻まれている。本来、同じ戒名を別々の人に付けることはしないのだが…」

豊かな漁場に囲まれ、古代より安房国として栄えた房総半島南部の千葉県鴨川市。海から1キロ足らずの中心部に立つ観音寺で、住職森谷義眞(33)が目を凝らした。「あまりに多くの人がいちどきに亡くなってしまい、同じ戒名を使わざるを得なかったのかもしれない」

視線の先には、角や側面が腐食し、表面の漆がすっかりはげた「元禄地震津波殉難精霊供養位牌(いはい)」があった。

この位牌には、江戸時代の元禄16(1703)年11月23日(新暦12月31日)未明に発生した元禄関東地震の津波で命を奪われた人々の名が彫られている。台座を含め高さは59・6センチ、幅35・8センチ。「大位牌」とも呼ばれ、寺周辺の馬場集落で犠牲になった145人を供養するために作られたものだ。

戒名の「信女」は大人の女性を表す。「信士」であれば男性。「童子」や「童女」は男の子や女の子を意味する。森谷は位牌をこう読み解く。「8割近い112人が女性と子ども。真夜中の地震だったから、弱い立場の人ほど逃げ遅れたのではないか」

寺からは、歴史上の地震を記録した史料や墓碑は元禄当時のものしか見つかっていない。「それだけ元禄の地震がこの地域にもたらした被害が大きかったということなのだろう」。森谷はいま、防災学習の一環で訪れる小学生に、郷土史に深く刻まれた災禍の教訓を語り継いでいる。

関東大震災90年 未曽有に学ぶ 第3部◆元禄の教訓(1)津波(上)、房総に色濃い「記憶」 より


戒名も名前であることを考えると、似たような戒名や同じ戒名があってもおかしくはないでしょうね。
とくに日蓮宗系でしたら、女性なら「妙」、男性なら「日」がつくので、どうしても似たような(もしくは同じ)戒名となってしまう確率は高くなると思います。

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