中国の葬儀 最新事情


急成長の中国葬儀業界に若者流入、歴史的タブー払拭に挑む


[嘉興(中国) 7日 ロイター] 中国の浙江省嘉興市の学生Zeng Liangliangさん(22)が、卒業後に希望する道を家族に打ち明けると、高収入が保証されていたにもかかわらず強く反対された。それは、Zengさんが選んだ職が「葬儀屋」だったからだ。

中国の葬儀業界はこれまで、死を話題にすることを禁じる伝統があることなどから敬遠され、多くの国民が悪運が運ばれてくるのを恐れ、葬儀業界に働く人々と距離を置こうとしてきた。

しかし、Zengさんは葬儀業界を社会に受け入れられる業界にするため、数世紀にもわたって存在してきたタブーと闘う新世代の若者の1人だ。

「われわれは若者で、考え方も違う。これまで葬儀屋は死者に対する尊敬の念があまりにも薄かったと感じている」。Zengさんは「だからこそ、われわれのサービスを通して、もっと尊厳が与えられた状態でこの世を去ってもらいたい」との思いを胸に仕事と向き合う。

<専門学校に葬儀コース>

「死」に関する迷信が今でも根強く残る中国だが、葬儀業界の規模は年間2000億人民元(約2兆5000億円)にまで成長し、収益性の高い業界トップ10入りも果たしている。

また、職業専門学校では、葬儀作法を学ぶコースも創設されており、その先駆けとなったのが湖南省の長沙民政職業技術学院で、1995年にスタートした。

同校には中国全土から毎年1500人以上の学生が集まり、葬儀コースを履修。3年間で基本的な技術を学ぶほか、休暇中には葬儀会社でのインターンシップ受講も求められるという。

同校によると、大都市の葬儀業界に就職した同校卒業生の平均月収は4000─5000元で、一般の卒業生よりやや高いという。

中国の典型的な葬儀サービスでも、遺体洗浄や化粧が含まれていたが、現在はスパでのトリートメントに似た洗浄作業が行われ、マッサージもある。さらに、作業者は生前の顔のままにしてあげようと念入りに化粧を施す。

ただ、Zengさんら若者の献身の裏に、葬儀業界に対する風当たりは強く、友人や家族から職を変えるよう迫られたり、結婚相手がなかなか見つからない人も多いのが現状だ。

それでも、葬儀業界に働く人々は、変化の速度は遅いがこの業界に流入する若者たちが、物の見方を変えてくれるはずだと、未来を見据える。

台湾人インストラクターのLin Leijieさんは「伝統的な見方から、年配の人たちは、この職業は未婚で子どもがいない人だけが就く職だと言う」と話し、「もっと多くの若者がこの職に就き、何も怖がることはないことを示してほしい」と願いを込めた。


アメーバニュース 急成長の中国葬儀業界に若者流入、歴史的タブー払拭に挑む より

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