陸地での散骨の現状 利点と問題点(改善ポイント)


“海中島” / 寧 Serenity / SML.20130204.7D.21254.P1 / See-ming Lee 李思明 SML


従来型のお墓を持たないで、遺骨を海などに散骨するという人が、ここ数年顕著に増えております。
※参照 散骨のまとめ

「海などに」と書いておりますが、散骨のほとんどが「海」で、陸地での散骨というのは、ほとんどないような感じなのが実感です。

数少ない陸地での散骨の中でも、葬儀・葬祭のNPO法人あんしんサポートさんが行っている散骨は、うまくいっているレアなケースかと思っていたのですが、そうでもないようです。
以下、抜粋


山林散骨は散骨地の所有、近隣住民への配慮等の

他に停車した場所から散骨場までの距離の問題等があります。


幸い散骨場は駐車場から3分も歩けば到着できる近距離なので、その

点に関しては良いのですが、いつでも行ける場所・・・なのが問題に

なりそうな場面に出会う事があります。


我々の知らない時に、散骨された家族が散骨場を訪れお参りをする。

墓だとすれば、当然の行為であり極々普通の感覚なのですが、もしも

山で線香を供え、消さずに帰り山火事にでもなったら間違いなく今後

散骨する事は不可能ですし、食べ物でも置いたら生息する動物が集ま

り近くの民家が被害に合う事だって考えられます。

また以前も書いたように遠方の人にとっては散骨場ですが、地域の人

には生活の場であり、散骨場は誰が考えても気分の良いものではなく

いくら法的に問題は無くても、地元の人には伏せてあるのによそ者が

山に出入りしていれば、近いうちに誰もが知ることになる訳で、そう

なれば問題にされる事もあり得ます。


日本人の多くは無信仰だと言いながらも仏教徒感覚が強く、

命日を始めとして彼岸、お盆、一周忌、三回忌、七回忌等回忌法要は

お参りをしたいと思う人が多いようです。


828. 現状散骨にある課題を解消し進化させる より


そもそも、散骨というのは「お墓」に縛られないようにするための1つの方途だと思っていたのですが、けっこう散骨場にお参りしたいというご遺族の方が多いようです。

これでは単に墓石のないお墓と変わらなくなってしまい、近隣の住民としては、気持ちよくはないでしょうね。

もちろん、それに対しては「手元供養」というかたちで、あんしんサポートは改善策を講じています。
※参照 手元供養 


しかし、そもそもの根本を変える方が良いのかもしれません。
それはあんしんサポートさんもご指摘の通り、供養してくれる場所=自分たちも気軽に、手軽に参れる場所を本当は欲しているわけで、そのような“場”を提供・供給するのが根幹なのかもしれません。
消費者が求めているのは、「お墓」ではなく「お墓参り」なのかもしれません。

そうなると、わたしが個人的に考えている「寺山樹木葬」との相性は抜群です。
※参照 全国寺山樹木葬センター 2


もともとの樹木葬は、里山保全の精神から始められました。
お寺の裏山がさびれてしまい、それを維持管理するにも費用がかかる…どうしよう…というお寺さんを助けるための事業であり、また同時に「死後は土に還りたい」という人たちの気持ちに応える、いわば相互依存、現代風に言えば、“ウィン=ウィン”の関係だったのです。

それがいつしか、墓石が樹木に替わっただけのお墓を、樹木葬と呼ぶようになってしまいました。

ですから、もしかしたらもともとの樹木葬の精神を思い出し、その理念のもとに広げていけばいいだけの話なのかもしれませんね。


重要なポイントは、皆さんが求めているのは「お墓」ではなく、「お墓参り」なのかもしれないということかもしれません。

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